執行役員の鬼頭です。
「AIに引用されるには、何をすればいいのか」。ここ1年ほど、この質問を受けることがぐっと増えました。GEO(生成AI向けの最適化)やAIO、LLMOといった言葉も増え、「これをやれば引用される」という話もたくさん出回っています。
ただ、その多くは数十〜数百ページを見ただけの事例や、ツール会社のセールストークです。僕もずっと「ちゃんとした数で比べたデータがほしい」と思っていました。
2026年10月22日、SEOツールのSISTRIX(ドイツ)が、AIに引用されたページとされなかったページを約9.6万URLで比べた調査「Citation Worthiness」を公開しました。英語版とドイツ語版は出ていますが、日本語で中身まで読んだ記事はまだ少ないので、数字と、その数字の読み方をまとめておきます。
先に結論を書くと、こうなります。
- 目次・Article schema・見出しの整理など、ページの「構造」を整えたページほど引用されやすい傾向がある
- llms.txtには、測れるほどの効果がなかった
- ただし、あくまでドイツ語圏の、2026年4〜6月の、相関の話。日本語のサイトにそのまま当てはまるかはわからない
この記事でわかること
- SISTRIXの調査が、何をどう比べたのか
- 引用されやすかった特徴と、効果が見えなかった施策
- 数字を読むときの注意点と、現場でまずやること
SISTRIXは何を比べたのか
調査の中身はこうです。
- 対象のAI:ChatGPT、GoogleのAI Mode、AI Overviews(それぞれ約16,000件の引用)
- 地域と時期:DACH(ドイツ・オーストリア・スイス)、2026年第2四半期
- 規模:AIに引用されたURL 48,527件を含む、合計96,418URL(17,380ドメイン)。1ページにつき43の特徴を調べています
- 比べ方:引用されたページと、同じドメインの中の引用されなかったページを組にして比べる
いちばん大事なのは最後の「比べ方」です。
大手メディアや有名ブランドのページは、それだけで引用されやすいはずです。違うサイト同士を比べると、ページの作りの差なのか、サイトの知名度の差なのかが分けられません。SISTRIXは同じドメインの中で比べることで、ブランドの強さの影響を外しています。「同じサイトの中で、どんな作りのページが選ばれたか」を見た調査、と考えるとわかりやすいと思います。
数字は「因子」で出ています。1.0なら差なし、1.7なら「その特徴があるページは、ないページの1.7倍引用されやすい」という意味です。
引用されやすかったページの特徴
主な数字を表にまとめます。
| 特徴 | 因子 | メモ |
|---|---|---|
| 目次(ページ内リンク付き) | 1.7 | 付いているページはわずか14% |
| Article schema(構造化データ) | 1.6 | AI Overviewsでは2.0 |
| H2見出しが5本以上 | 1.6 | |
| FAQPage schema | 1.5 | |
| 見出し行のある表 | 1.5 | |
| 箇条書きが10個以上 | 1.5 | |
| 1,000語以上 | 1.5 | 構造が整った結果として長くなっている面も |
| 著者ボックス+写真 | 1.4 | |
| 質問の形のH2が1つ以上 | 1.4 | |
| 見える更新日 | 1.3 | 付いているページは5% |
| 冒頭のTL;DR(要約) | 1.3 | |
| 外部リンクが10本以上 | 1.3 |
(出典:SISTRIX「Citation Worthiness」。DACH・2026年Q2・同一ドメイン内の比較・相関)
並べてみると、派手なテクニックはひとつもありません。目次を付ける、見出しを立てる、表にする、誰が書いたかを見せる、いつ更新したかを見せる。人が読みやすいページを作るときに、昔から言われてきたことばかりです。
もうひとつ目を引いたのが、目次が付いているページはわずか14%、見える更新日は5%という数字です。効きそうなのに、ほとんどのページがやっていない。逆に言えば、ここは手を付けるだけで周りと差がつく部分です。
SISTRIXは、こうした特徴のうち11個をまとめた点数も出しています。多く満たしているページは、ほとんど満たしていないページの2.1倍引用されていました。ただし、引用されたページのうち、多くを満たしていたのは1割だけです。
タイトルに今年の年号:2.7倍(ただし「最初の手がかり」)
いちばん大きな数字は、タイトルに今年(2025年・2026年)の年号が入っているページの2.7倍でした。逆に、古い年号だけが入っているページは0.7倍です。
ただ、この項目は後から追加で調べたもので、SISTRIX自身が「最初の手がかり」という扱いにしています。著者は「タイトルの小技ではなく、中身が新しいことの表れだろう」と書いていて、年号を書き換えるだけで効くかどうかはデータからは言えません。年号だけ変えて中身はそのまま、というのは、読む人にもAIにも見抜かれると僕は思います。
AIごとの違い
AIによって、効きやすい特徴に少し差がありました。
- ChatGPT:質問の形のタイトル(1.9倍)、見出し行のある表(1.8倍)、質問の形のH2(1.6倍)
- AI Mode:目次(1.8倍)、H2が5本以上(1.8倍)など、基本の構造がそのまま効く
- AI Overviews:Article schemaが2.0倍。一方でProduct schemaは0.5倍
サイトの種類でも差があります。メディア・編集系のサイトでは目次が2.5倍、更新日が1.9倍と大きく効いていました。一方でECサイトでは、更新日が0.7倍と逆向きです。商品ページをAIに引用させたいなら、商品ページそのものより、選び方や使い方を解説するアドバイス記事を用意する方が近道かもしれません。
弊社のブログでも、さっそく取り入れていこうと思っています。直近の記事から、冒頭の要約や箇条書き、更新日の記載などを始めています。
効果が見えなかったもの
llms.txt
AI向けに「サイトの案内書」を置くllms.txtは、ここ1年でかなり話題になりました。結果は、測れるほどの効果なしです。
引用されたURLのうち、llms.txtがあるドメインのものは11.7%。調べた全ドメインでは14.0%。むしろ少し低いくらいで、SISTRIXも優先して取り組むものではないとしています。
一部の構造化データ
構造化データなら何でも効くわけではありません。
- パンくずリスト・HowTo・QAPageのschema:1.0(差なし)
- Product schema:0.8(AI Overviewsでは0.5)
- Recipe schema:0.1
読みやすさのスコア
文章の読みやすさのスコア(Flesch)は1.03で、意味のある差は出ませんでした。
文字数
1,000語以上のページは1.5倍でしたが、著者は「長いから引用される」のではなく、見出しや表が整ったページが結果的に長くなっている面が大きいと見ています。文字数を水増ししても、得るものは少なそうです。
数字を読むときに気をつけたいこと
この調査はよくできていますが、提案資料に「目次で1.7倍」とだけ書くと、数字が独り歩きします。読むときは、次の点をセットにしてください。
1. 相関であって、因果ではない
SISTRIX自身が本文で、因果関係は示していないと書いています。目次を付けたから引用されたのか、目次を付けるような丁寧なページだから引用されたのかは、この調査では分けられません。
2. ドイツ語圏の、2026年4〜6月の調査
日本語のサイトは入っていません。Perplexity・Claude・Geminiのチャットも対象外です(SISTRIXは続きの調査を予定しているとのこと)。
3. 小さな調査は、結果がひっくり返る
僕がいちばん大事だと思ったのはここです。SISTRIXは、FAQ schemaについて、調べる数を変えると結論が変わることを自分で示しています。
- 833URLで見ると:引用されたページの方が23%少ない
- 4,600URLで見ると:引用されたページの方が31%多い
- 96,418URLで見ると:19%多い
数百件の調査なら、真逆の結論が出てもおかしくない、ということです。SISTRIXは目安として「5,000URL未満の調査は信用しない」と書いています。「GEO施策で引用が○倍に」という話を見かけたら、まず何件で調べたかを確かめるのがよさそうです。
4. 「2.1倍」は施策ひとつの効果ではない
11の特徴をまとめて満たしたページと、ほとんど満たしていないページの差です。どれかひとつをやれば2.1倍になる、という意味ではありません。
5. ツール会社の調査である
SISTRIXはSEOツールの会社です。調べ方は公開されていて丁寧ですが、そういう立場の調査だということは頭に置いておきたいところです。
別の研究では、違う結果も出ている
2026年10月にarXivで公開された研究「What Drives AI Citations?」(Chen・Koudas)は、ChatGPTなどの回答15万件以上を調べ、少し違う結論を出しています。
- 同じサイトの中で効いていたのは、ページのタイトルや段落が、人の質問と合っていること
- FAQ・構造化データ・要約ボックスなどは、サイト同士を比べたときにだけ効いて見える
- ChatGPTが引用したページは、すべてChatGPT自身の検索で拾われたもの。引用されるかどうかは、ページの作りより「検索で拾われるか」の方がずっと大きく左右する
SISTRIXの結果と矛盾するように見えますが、僕はこう読んでいます。構造を整えることは、AIがページを読み取りやすくするための土台。ただし、その前に「そもそも検索で拾われるか」「人の質問にまっすぐ答えているか」がある。順番を間違えると、目次や構造化データをいくら整えても空振りします。
また、ページの施策が効くのは、AIが検索してから答える場面です。AIが検索せず、もともと知っていることから答える場面では、ページを直しても届きません。そこで効いてくるのは、日ごろから「この分野ならこの会社」と認識されているかどうか、つまり昔ながらのブランドづくりです。
現場でまずやること、やらなくていいこと
テンプレートに一度入れれば済むもの
ブログやコラムのテンプレートに入れてしまえば、以降の全記事に効きます。地味ですが、いちばん費用対効果のよい部分です。
- 目次(ページ内リンク付き)
- Article schema
- 著者ボックス(顔写真と、何をしている人か)
- 見える更新日(メディア・コラム系のページ)
記事ごとに、中身に合わせて
- 実際によく聞かれる質問がある記事には、FAQとFAQPage schema(SISTRIXも、形だけのFAQではなく本物の質問が前提と書いています)
- 比較や数字は表にする
- 見出しを、読む人が実際に検索しそうな質問の形にする
- 冒頭に、その記事の答えを短くまとめる
- 出典にリンクする
優先度を下げてよいもの
- llms.txtを最優先で入れること
- 「構造化データを入れれば何でも効く」という考え方
- 文字数の水増し
- 数百件規模の「GEO調査」を、そのまま根拠にすること
お客さまにお伝えするときも、言い切るのは「目次・著者・更新日は整えておきましょう」までにしています。「入れれば引用される」とは言いません。今回の数字はあくまで傾向で、最後に引用されるかどうかを決めるのは中身だからです。
まとめ:構造はAIのため、中身は人のため
今回の調査で見えたのは、AIに引用されやすいページは、結局のところ「人にとって読みやすく、誰が・いつ書いたかがわかるページ」だということでした。目次も、見出しも、著者も、更新日も、昔から言われてきたことです。新しい裏ワザはありません。
ただ、その基本ができているページは、思っていたよりずっと少ない。目次は14%、更新日は5%です。地味な部分を、テンプレートで一度整えておく。そのうえで、一本一本の記事が、読む人の質問にまっすぐ答えているかを見直す。派手さはありませんが、積み上げた分だけ残る取り組みだと思います。
弊社のブログでも、要約や箇条書き、更新日に続いて、目次を入れました。どれも一度テンプレートを整えれば、あとは記事を書くたびに効いてくる部分です。できるところから、ひとつずつ積み上げていきます。
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