執行役員の鬼頭です。
この2週間(2026年10月後半)、Googleの検索結果をめぐって、大きなニュースが続きました。Alphabetの決算でGoogleが「AIモードは広告の収益化が低い」と認めたうえで、AIモードの広告を米国外に広げると発表。翌日には、Redditが「Google検索からの流入が大きく減った」と決算で明かしました。
この話は長くなるので、先にまとめます。
- 同じ検索結果の上で、サイトへの流入と広告の両方が同時に動いている AI概要・AIモードの中で答えが完結し、サイトへのクリックは減る方向。一方でGoogleは、そのAIの回答の中を新しい広告枠にしにいっています
- 日本はAIモード広告の対象外。ただ、時間の問題だと思います 今のうちに、設定とデータと記事の作り方を見直しておく時期です
- SEOと広告は、別々ではなくまとめて見る どちらも同じ検索結果の取り合いになりつつあります
先に、言葉の整理
- AI概要(AI Overviews) 検索結果のいちばん上に出る、AIが作った要約
- AIモード(AI Mode) Google検索の中にある、チャットのように会話しながら調べられるモード。続けて質問できる
- 引用リンク AIの回答の横や下に出る「この情報はこのサイトから」という参照元。サイトへのクリックの主な入り口
- マルチターン広告 AIモードで続けて質問したとき(2往復目以降)にも出る広告
- 目標ROAS 「広告費1円あたり、いくらの売上を取りたいか」を指定する自動入札の目標
なぜ今?Googleが「AIモードは稼ぎにくい」と認めた週
米国時間の10月28日のAlphabetの決算説明会で、最高事業責任者のフィリップ・シンドラー氏は、AIモードの検索が大きく伸びたことが、AIモードの収益化の低さを通じて業績に影響したと説明しました。
そのうえでGoogleが打ち出したのが、AI概要とAIモードの中の広告を「より多くのユーザーと検索」に広げること。広告の収益化の場を、初めて世界に広げるとも話しています。あわせて、次のことも明らかにしました。
- AIモードの広告を、米国外の10か国に広げる(くわしくは後で)
- 米国では、続けて質問したときにも広告が出る「マルチターン広告」を始める
- AIモードの商品一覧では、広告の商品と広告でない商品のクリック率が、すでに同じくらいになっている
Googleにとって、AIの回答は「広告を出しにくい場所」でした。そこを広告枠に変えていく、という宣言です。
検索結果の見え方と流入はどう変わった?
AI概要の「もっと見る」で、AIモードに移る
日本でも、AI概要の「もっと見る」を押すと、検索結果の一覧から離れて、そのままAIモードの画面に切り替わるという指摘が出ています。
※AI概要からAIモードへの切り替わりから、「作るべきSEO記事が変わった」と整理している投稿
いったんAIモードに移った人が、検索結果の一覧に戻ってくることは多くないはずです。検索で1位を取っても、AI概要がなかったころほどの流入は見込みにくくなります。特に「〇〇とは」のような用語の解説は、AI概要だけで満足されやすい記事です。比較、手順、事例のように、AIの要約だけでは済まないテーマの記事の重みが増しています。
AI概要の引用リンクが目立たなくなった、という観測
海外では、AI概要の横に目立つ形で出ていた引用リンク(参照元のカード)が、パソコンの画面でも大きく減ったという観測が出ています。
※直近で表示回数が落ちているなら、これが一因かもしれない、という指摘。返信では「まだ出ている」という声もあり、段階的に変わっている可能性があります
AIから外れたらどうなる?Search Consoleの新しい設定と、小さな実験
Search Consoleの「設定」に、「Search generative AI」という項目ができています。ここで「除外」を選ぶと、サイトのリンクと内容が、AI概要、AIモード、Discoverの生成AIの機能に出なくなります。Googleのヘルプによると、この設定はほかの検索の順位には影響せず、反映には数日かかります。AIの学習に使わせない設定(Google-Extended)とは別物です。
では、AIから外れると流入はどうなるのか。米国のSEO専門家のサイラス・シェパード氏が、自分のサイトで試した結果をXで報告しています。AIの回答の中のリンクのクリック率は1%弱しかなかったのに、除外したら、通常の検索結果からのクリックまで減り、合計で最大2割ほど減ったそうです。
※AIの回答に載っていると、下に並ぶ通常のリンクもクリックされやすくなる、という見立て。1サイトでの小さな実験です
1サイトの小さな実験なので、そのまま一般化はできません。ただ、「AIに載ってもクリックされないなら、外してしまおう」という判断は、慎重にした方がよさそうです。
Redditは「Googleからの流入が週100万件以上減った」
Redditは米国時間10月29日の決算で、10月に入ってGoogle検索からの流入が平均で週100万件以上減ったと明かしました。主な原因として、AI概要とAIモードの広がりを挙げています。CEOのスティーブ・ハフマン氏は、AIモードは外のサイトへの流入を生まないという見方を示しました。
一方でハフマン氏は、「RedditはGoogleでも上位の検索ワードのままだ」とも話しています。探されなくなったわけではなく、探された結果のクリックが、Googleの外に出てこなくなった。そういう構図です。Redditの事情に引きつけた説明でもあるので、そのまま一般化はできませんが、大手でもここまで削られる、という一つの目安になります。
検索結果の中の広告はどう変わった?
AIモードの広告が、米国外の10か国へ
Googleは10月28日、AIモードの広告を次の10か国に広げると発表しました。
- オーストラリア、カナダ、インド、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポール
第4四半期には、ブラジル、メキシコ、英国にも広げる予定です。日本は、今回は入っていません。
報道によると、新しい国の広告主は、すでに出している検索、ショッピング、P-MAXのキャンペーンが、そのままAIモードの広告の対象になります。新しいキャンペーンや別の予算は要りません。日本に来たときも、おそらく同じ形になります。つまり、何もしなくても、今のキャンペーンがある日からAIの回答の中に出始める、ということです。
米国では「マルチターン広告」も
米国では、AIモードで続けて質問したときの回答にも、広告が出るようになりました。会話が深まるほど、何を探しているかははっきりします。広告を出す側から見れば、意図のはっきりした場面に出られる枠です。
AIモードの商品一覧と、Smart Bidding Exploration
AIモードの回答には、商品の画像と価格が並ぶ一覧がよく出ます。そこには広告の商品と、広告でない商品が一緒に並び、Googleによればクリック率も同じくらいです。ショッピングの広告では、商品フィードがそのまま、AIの回答の中のクリエイティブになります。
入札の側では、Smart Bidding Explorationが、検索キャンペーンに加えてP-MAXとショッピングにも広がっています。目標ROASを5〜30%の範囲でゆるめて、これまで取れていなかった検索を取りにいく機能です。
- 目標ROASの入札で、予算で制限されていないことが条件
- 商品フィードのあるP-MAXでは、1つの設定で検索とショッピングの両方に効く
- ポートフォリオ入札で使えるのは、検索キャンペーンだけ
- Googleも、試している間はROASが下がりうると書いている
設定した目標ROASが、実質的に下限ではなくなる点には注意が必要です。試すなら、利益率から「どこまでなら下がってもいいか」を先に決めておきたいところです。
運用者が今やること
- Search Consoleの「Search generative AI」が「含める」になっているか 親のプロパティや、昔の担当者の設定で「除外」になっていないか確認する
- 除外を考えるなら、サイト全体ではなく一部から 上の小さな実験のように、通常の検索のクリックまで減る可能性がある
- 「〇〇とは」系の記事を洗い出す AI概要だけで済まれやすい記事に、比較・手順・事例など、AIの要約では済まない中身を足す
- 売上や問い合わせにつながる検索を、AIモードで実際に調べてみる 誰が引用されているか、広告が出ているかをメモしておく
- 商品フィードを整える AIモードの商品一覧では、フィードがそのまま広告になる
- Smart Bidding Explorationは、下げていいROASの幅を先に決めてから 評価は数週間かけて
- 計測は、クリック数ではなく流入のあとの成果で見る AIモードからの流入は、サイトの側では見分けにくい
- 広告とSEOをまとめて見る 広告費をかけているのに自然検索では弱いテーマ、その逆のテーマを洗い出す
日本でAIモードの広告はいつ始まる?
日本での時期は、まだ発表されていません。日本の広告運用者のあいだでも、「日本は今回入っていない」と整理する声が出ています。
※AIモードの広告の10か国への拡大を、日本の広告運用者の目線で整理した投稿
対象外の今のうちに、設定と商品データと記事の中身を整えておけば、来たときに慌てずに済みます。
まとめ:同じ検索結果の上で、SEOと広告をまとめて見る
この2週間で見えたのは、Googleの検索結果の上で、サイトへの流入と広告の両方が同時に動き始めたことです。AIの回答の中で完結する検索が増え、サイトへのクリックは減る方向。そのAIの回答の中を、Googleは新しい広告枠に変えていこうとしています。
「AIから外れる」より、「AIの中でどう見られるか」。そして、広告とSEOを別々ではなく、同じ検索結果の取り合いとしてまとめて見ること。AIの回答に引用されやすいページの作りについては、前日の記事でSISTRIXの調査を紹介しています。
参考
- 9to5Google:Google stock drops amid AI fears; AI Mode has ‘lower monetization,’ getting more ads(2026年10月29日)
- Search Consoleヘルプ:Search generative AI の設定
- CNBC:Reddit shares sink on weak sales guidance and plans login requirement test as Google search traffic shrinks(2026年10月29日)
- Google広告ヘルプ:How Smart Bidding Exploration for Search, Performance Max, and Shopping campaigns works
AI検索の時代の広告運用やSEOの見直しなど、ご相談がある方はお問い合わせください。
