生成AIをめぐる話題が加速する中、2025年に特に注目を集めたのが「Claude Code」の登場と「AGI(汎用人工知能)」への議論です。SaaSの株価下落、AIオーケストレーション、そして人間を超えるAIの実現——これらは単なる技術トレンドではなく、マーケティングの仕事そのものを再定義しつつあります。今回は、社内外を問わず生成AIの実践的な活用を牽引する弊社執行役員・鬼頭健に、今起きている「静かな革命」の本質について話を聞きました。
Claude Codeとは何か
「AIが自分でコードを書き、動かし、修正する」時代の幕開け
—Claude Codeが注目される理由
一言で言うと、AIが自律的にコードを書いて、実行して、エラーを直して、完成まで持っていくことができるようになった点です。従来の生成AIはあくまで「提案する」ツールでした。「こういうコードはどうですか?」と出してくれるけれど、実行するのは人間。Claude Codeはそこが違って、ターミナル上で自分で動かしながら完成させていく。エンジニアでなくても、やりたいことを日本語で伝えれば実際に動くツールが出来上がる。これは開発の民主化という意味で、革命的な変化だと思っています。
—弊社での活用事例
弊社ではAnthropicのチームプラン(法人契約)を導入しています。チームプランでは入力したデータがAIの学習に使用されないため、クライアントの情報を含む業務利用でも安心して使える環境が整っています。具体的にはBigQueryと連携したマーケティングデータの解析や、GA4・広告データを横断して対話形式で分析できるBotの開発などを行っています。「先月のキャンペーン、CPAが高かった原因は?」と聞くと、データを引っ張って答えてくれるイメージです。レポート作成にかかっていた時間が大幅に削減されています。
SaaS株価の下落が示すもの
ソフトウェアの価値が根本から問い直されている
—ソフトウェアを「買う」時代から「作る・組み合わせる」時代へ
2025年はSaaSの株価が大きく下落した年でもありました。これまでSaaSが高く評価されてきたのは、「特定の業務を効率化する専用ツール」としての価値があったからです。でも生成AIが高度化すると、「そのツールがやっていたことをAIが直接やってしまう」という状況が生まれ始めた。極端な話、これまで月額数万円払っていたレポートツールの機能を、AIとBigQueryの組み合わせで自社開発できてしまう。ソフトウェアを「買う」時代から、「作る・組み合わせる」時代へのシフトが起きています。
AIオーケストレーションという革命
AIがAIに指示を出す——人間の役割が変わる
—複数のAIが連携し、タスクを自律的に完遂する仕組み
AIオーケストレーションとは、複数のAIエージェントが連携し、ひとつのAIが別のAIに指示を出しながらタスクを完遂する仕組みです。たとえば「競合調査レポートを作って」という指示を受けたAIが、検索AIに情報収集を依頼し、分析AIにまとめさせ、ライティングAIに文章化させる——という流れを自律的に回す。人間がやることは「最初の指示」と「最終確認」だけになる。これが実用レベルで使えるようになってきたのが2025年の大きな変化で、Claude Codeはその中核を担うツールのひとつです。マーケティングにおいても、定型的なレポーティングや競合分析はこうした仕組みに置き換わっていくと見ています。
AGIとは何か、マーケティングはどう変わるか
「人間を超えるAI」が実現したとき、私たちの仕事はどうなる
—AGI(汎用人工知能)とは
現在のAIは「特化型AI」です。画像認識が得意、文章生成が得意、といったように特定タスクに最適化されている。AGI(Artificial General Intelligence)はそれとは異なり、人間のようにあらゆる領域で自律的に考え、学び、判断できる汎用的な知能のことです。OpenAIやAnthropicといった主要なAI企業がAGIの実現を明確な目標として掲げており、「5年以内」「すでにその入口にある」という見解も出てきています。
—マーケターに残る価値とは
正直に言うと、現在のマーケティング業務の多くは代替されていくと思います。データ分析、レポーティング、広告文の作成、ABテストの設計——これらはすでに生成AIが得意とする領域で、AGIが実現すれば戦略立案のレベルまで踏み込んでくるでしょう。だからこそ今重要なのはAIを使いこなす側に回ることです。マーケターに残る価値は、クライアントへの深い理解と、数字の背景にある文脈を読む力、そして「何を問うべきか」を設定する力。AIはあくまで答えを出す道具。問いを立てるのは、これからも人間の仕事です。