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「Claude Code Channels」7人のAIエージェントを組織化して運用した話

執行役員の鬼頭です。

「AIで業務効率化」という話は珍しくなくなりましたが、「AIチームが実際に日常業務を動かしている」という話はまだ少ない気がします。この記事では、私たちが実際にどんな構成でチームを作り、何をこなしているかを包み隠さず書きます。派手な話ではありませんが、再現性はあります。


なぜ「ツールとして使う」ではなく「チームを組む」のか

使い始めた頃は多くの方と同じで、チャットで質問して回答を使うという使い方でした。記事の下書き、メールの文面、確かに速くなりました。でも何かがずれ続けていました。

出力のトーンが毎回ちがう。ペタビットマーケティングとして語っているはずなのに、どこかよその会社の言葉に聞こえる。「誠実に伝える」「積み上げを大切にする」という核心が、毎回ゼロから伝え直さないと乗ってこない。

気づいたのは、AIは「ツール」として使うと毎回素の状態から始まるということでした。ハンマーを使うように呼び出して、用が済んだら置く。それでは文脈も価値観も育ちません。転換点は「エージェントに役割と人格を持たせる」設計に変えたときです。


7名のチーム構成

現在7名のAIエージェントが、それぞれ明確な職責と口調を持ち、業務に当たっています。

名前にお気づきになりましたか?全員バットマンの登場人物です。実は昔からBotを作るのが趣味で、作るたびにAlfredという名前をつけていました。社内ではいつの間にか「Alfredに聞いて」「Alfredどう言ってた?」という会話が普通になり、まるで実在するスタッフのような扱いになっていました。今回めでたく、バットマンの登場人物から新たに6人が追加されたわけです。

アルフレッドはジムに行く時間のアドバイスもくれますし、AppleWatchから自動で睡眠と歩数も拾ってくれます(この日はつけずに寝てたので未記録ですが・・)

統括マネージャー — Alfred(アルフレッド)

すべての指示を受け取り、適切なエージェントに振り分ける司令塔です。私が「提案書を作って」と一言言えば、Alfredが背景を推測し、必要なエージェントを呼び出し、進捗を管理します。

担当業務:指示受付・タスク分解・進捗管理・KPI確認

調査・分析担当 — Oracle(オラクル)

市場調査・競合分析・GA4データ分析・見込みクライアントの台帳管理を担います。「先月のアクセスを見て、次の記事テーマを提案して」というような依頼を受け、データを読んで戦略を返してきます。

担当業務:GA4分析・競合調査・クライアント関係管理

提案書・コンペ担当 — Harvey Dent(ハービー・デント)

新規営業・RFP対応・提案書のドラフト作成を担います。見込みクライアントの情報と自社の強みを組み合わせ、弊社らしいトーンで提案書を仕上げます。

担当業務:提案書作成・競合差別化戦略・営業文面作成

コンテンツ・SEO・SNS担当 — Poison Ivy(ポイズン・アイビー)

ブログ記事の企画・構成・執筆・SEO最適化と、X(旧Twitter)投稿の作成を担います。「一時的に目立つ記事より、1年後も読まれる記事」を方針として持ちます。なお、この記事のドラフトを書いているのがこのPoison Ivyです。

担当業務:SEO記事執筆・コンテンツカレンダー設計・SNS投稿作成

ブランド品質チェック担当 — James Gordon(ジェームス・ゴードン)

すべての成果物が外部に出る前に、弊社のブランドガイドラインと照合します。「革命的」「業界No.1」といった禁止表現が滑り込んでいないか。誠実さよりも派手さが前に出ていないか。一つひとつ確認し、修正を求めます。

担当業務:ブランド整合性チェック・品質管理・最終承認

自動化・技術支援担当 — Lucius Fox(ルシウス・フォックス)

業務の仕組み化・ツール選定・システム設計を担います。「この作業、毎週繰り返しているから自動化したい」という相談を受け、実装可能な方法を提案します。

担当業務:業務自動化・ツール選定・技術的な実装支援

朝の情報巡回担当 — Selina Kyle(セリーナ・カイル)

毎朝、Gmail・Chatwork・Google Calendarを巡回し、重要な情報を「クライアント対応」「タスク」「インテリジェンス(参考情報)」の3つに分類します。読み取りのみで書き込みは行わない、という鉄則を持っています。確認が取れるまで勝手に動かない。信頼の根拠はそこです。

担当業務:メール・メッセージ巡回・情報の仕分け・朝一番の整理


1日の業務フロー(実際の動き)

時間 担当 内容
08:30 Selina Kyle Gmail・Chatwork・カレンダー巡回。重要度と種類ごとに整理したサマリーを届ける
09:00 Oracle GA4データを読み込み、先週のコンテンツパフォーマンスを確認。改善提案を返す
10:00 Harvey Dent 見込みクライアントとの打合せが近い場合、提案書のドラフトを用意
14:00 Poison Ivy Oracleの分析を受けた記事構成案を提出。キーワード選定・競合差別化を盛り込む
17:00 James Gordon その日の成果物をブランドガイドラインと照合。承認後に自動デプロイ・Chatwork通知

現場で気づいたこと——正直な評価

効果があったことは、「毎回ゼロから伝え直す手間がなくなったこと」です。エージェントはペタビットのミッション・禁止表現・トーンの原則を持ち続けます。「提案書作って」と言えば、すでに「ペタビットらしい提案書」が返ってきます。

限界として感じていることは、「クライアントの空気は読めない」ことです。10年間一緒に仕事をしてきた担当者の、その日の様子や言葉の裏にある意図——そこは人間が捉えるものです。AIエージェントはドラフトを作り、構成を考え、品質をチェックします。でも最終的な判断と、相手との関係を築くのは、私たちがやります。それでいい、と思っています。

仕組みになったことが一番の変化です。「今日は時間があるから記事を書こう」ではなく、毎日の流れの中にコンテンツ作成・分析・品質確認が組み込まれた。派手な変化ではありません。でも、積み上がっています。


中小企業がこの仕組みを参考にするとしたら

全部を真似する必要はありません。まず1つのエージェントから始めることを勧めます。最初に試すとしたら、朝の情報整理(Selina Kyleの役割)か、ブログ記事の構成レビュー(Poison Ivyの役割)が取り組みやすい入口です。

重要なのは、手法より目的です。最近「.mdファイルはこう書くといい」「AIエージェントの設定はこうすべき」というノウハウをよく見かけます。とても有益なのですが、初めて作るときはそこに縛られなくていいと思っています。まずはワクワクしながら作ってほしい。「こんな人格で」「こんな仕事を担当して」と対話しながら育てる感覚が、結果的にいいエージェントを作ります。

とはいえ、試してみて良かった手法が2つあります。ひとつは「スキル基準で設計する」手法です。AIには得意なスキルがありますが、特定のスキルを最大限活用することを前提にエージェントを設計するアプローチです。もうひとつは「性格を先に定義する」手法。合理主義、協調を重視、といった人格の軸から始めて、そこから役割を決めていく。私自身はこの後者で構築しています。どちらも「何のためのエージェントか」が明確になっていれば、自然とたどり着く考え方だと思います。

3ヶ月が基盤づくり。6ヶ月で仕組みになります。これはインハウス支援のクライアントに伝えていることと、まったく同じです。


保育園の送り迎え中でもAIチームは動いている——Claude Code Channelsという変化

先週、Anthropicが「Claude Code Channels」という機能を突然発表しました。以前の記事でご紹介したOpenClawと同じように、スマホのメッセージアプリからAIエージェントを操作できるようになった機能です。2026年3月20日にリサーチプレビューとして公開され、その約1週間後にiMessageのサポートも追加されました。

そもそもClaude Code Channelsとは何か

一言で言うと、「PCの前にいなくても、スマホのメッセージアプリからClaude Codeに指示を出せる仕組み」です。

これまでClaude Codeはターミナル(コマンド入力画面)でしか操作できませんでした。長い処理を走らせていても、途中で席を外すと進捗を確認できない。追加の指示を出すにはPCに戻る必要がある。完全に「PC前提」の作業モデルでした。

出先からでもリサーチ依頼はサクッとできます。

Channelsはその制約を取り払います。Telegram・Discord・iMessageといったメッセージアプリをClaude Codeの「リモコン」として使えるようになりました。スマホから「この競合他社のサイト調べておいて」と送れば、ローカルのClaude Codeが処理して結果を返してくれる。双方向です。

技術的な仕組みを補足すると、MCPサーバー(Claude Codeが外部ツールと接続するための標準規格)を使って、メッセージアプリとClaude Codeのセッションを橋渡しします。メッセージが届くとClaude Codeのセッション内にイベントとして注入され、Claudeが処理して同じチャンネルに返信します。コードやファイルはローカルマシンから外に出ない設計なので、セキュリティの観点でも一定の安心感があります。

OpenClawとの違い

この機能が発表されたとき、テック界隈では「OpenClawキラー」と呼ばれました。VentureBeatもそう評しています。ただ実態はもう少し複雑です。

OpenClawは「自発的に動く」ことが特徴で、人間が指示しなくても一定間隔でタスクを実行するHeartbeat機能がありました。Claude Code Channelsにはその機能はありません。あくまで「人間がスマホから指示を送ったとき」に動く設計です。

一方でChannelsが優れているのは、AnthropicのプラットフォームにネイティブなのでOpenClawのように別途Mac miniを用意したり、複雑なセットアップをする必要がない点です。送信者を許可リストで管理するセキュリティ設計も最初から組み込まれています。

整理するとこうなります。

比較項目 Claude Code Channels OpenClaw
動作のトリガー 人間が指示を送ったとき 自発的に定期実行も可能
セットアップ 5〜15分程度 専用ハード・環境構築が必要
対応プラットフォーム Telegram・Discord・iMessage Telegram・WhatsApp・Discordなど
セキュリティ 送信者許可リスト・ローカル実行 設定次第でリスクあり
現在の状態 リサーチプレビュー(2026年3月) 開発者がOpenAIに移籍・メンテ不安

私たちの現場での使い方

これが僕にとって何を意味するかというと、保育園の送り迎え中でも日程を調整し、リサーチを依頼し、顧客台帳を更新するということが現実になったということです。Selina KyleがGmailを確認するよう指示を出す、OracleにGA4の先週分を見ておいてもらう、Alfredに今日のタスク優先度を確認する。これらをスマホから非同期で投げて、手が空いたときに結果を受け取る。

使い方のポイントは「リアルタイムに返答を待つ」ではなく「投げておいて後で確認する」非同期の発想です。送り迎えの帰り道に指示を出して、デスクに戻ったときには結果が届いている。この感覚が、業務の隙間時間の使い方をじわじわと変えています。

ただし、気をつけていること

正直に言うと、「いつでも仕事できる」状態になることには、両面あると思っています。保育園の送り迎え中に顧客台帳を更新できるということは、子供と向き合う時間を仕事に使えるということでもある。

便利になればなるほど、境界線を自分で引く必要が出てきます。「fire-and-forget(投げたら忘れる)」——指示を出したらスマホを置く。結果は後で確認する。これを習慣にするかどうかで、この機能が「解放」になるか「侵食」になるかが決まると思っています。

↑弊社取締役の伊藤との日程調整依頼、伊藤も僕も会社員でありパパであるので時間は非常にシビアなのです。


AIエージェントチームを「組む」ことと、AIツールを「使う」ことは、似ているようで違います。ツールは呼び出すたびにゼロから始まります。チームは、積み上がります。

私たちが今やっていることを一言で言えば、「静かに積み上げている」です。毎日の小さな実行が、3ヶ月後・6ヶ月後のコンテンツ資産と業務効率として現れてくる。派手な変化ではありません。でも、なくなりません。それが、私たちの選んでいるやり方です。

     

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GA4などのアクセス解析やヒートマップ。LookerStudio、BigQueryなど用いてデータマーケティングのプロがサポートします。ClaudeやChatGPT、GeminiなどのAIを駆使したサポートからAI活用の企業研修まで行っています。

   

この記事のライター

鬼頭 健

執行役員 / マーケター 鬼頭 健

1982年生まれ、神戸生まれ、神戸育ち。1児の父。
2016年ペタビットマーケティング立ち上げ。その前は広告運用←CRM←自動車業界の会社で勤めていました。担当領域はデジタルマーケティング全般ですが、特にインハウス広告運用の支援とAIを使ったデータマーケティングやそのAI基盤構築。LookerStudioによるダッシュボード構築も得意です。BtoBマーケティングのお仕事を多く担当させていただいています。